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「嫌だ!せっかく私はお前と友達になったのに……どうしてそんな事言うんだよ!もしかして、私が嫌いになったのかルル!?」
「……違うよ、晴喜。あたしはね、こうして外に出ちゃ行けないし、それにこうして晴喜みたいに『友だち』を作っちゃいけないんだよ」
「ルル……」
「でも晴喜もあたしと同じこと、考えてくれたんだね……よかった」
少女はまた笑った。
だけどその笑いは、決して良い笑いではなく、少女の瞳から涙がこぼれていた。
私は手を放そうとしなかった。
けど、少女はゆっくり、ゆっくりと私の手を放していき、ゆっくりと離れようとする。
「ねぇ晴喜」
「……なに?」
「ここの薔薇園、本当に綺麗だね」
「……」
辺りを見回すと、少女と私の周りには、無数の薔薇が植えられている。
二人はその中心に立ち、少女は愛おしそうに赤い薔薇を見ながら、答えた。
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