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「……晴喜。もう一度ここで会えることが出来たら――」
「え……?」
「そしたら……そしたら私と――」
* * *
「出席番号10番、寿晴喜……私の授業で居眠りするとは、良いご身分だな?」
「……んぁ?」
ゆっくりと目が覚めた時には、そこにはあの薔薇園の姿などなく、目線の先に居たのは笑みを浮かばせながら今にもチョークを握り締めようとしている数学の教師、安藤明菜(あんどうあきな)先生の姿だった。
そして、生徒達はクスクスと笑っている姿が見える。
俺は今どういう状況か理解した上で、欠伸をしてもう一度眠りにつこうとする。
「寝るんじゃねェって言ってるだろこのボケェ!!!」
次の瞬間、俺の頭に安藤明菜の拳が振り下ろされたのだった。
* * *
「……お前、『馬鹿』だよな、晴喜」
「本当に馬鹿だよねーはるくんって!」
「……」
二人の友人の言葉に、全く返す言葉が出なかった。
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