20××年、4月5日 序章 

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 自分の教室の机には大量に置かれている数学のプリント。  先ほど、安藤明菜先生が俺のために置いていったプリントでもあり、「これをやって反省しろボケェ!」と言う言葉を置き土産にしながら。  めんどくさがりの俺は、全くやる気が出ない状態が続いているのであった。  プリントをマジマジと見つめた後、机に置いた。 「無理。絶対に出来るわけねーじゃんこんな量」 「自業自得でしょう?はるくんは学校で何しに来てるの?」 「……寝に?」 「やはりお前、『馬鹿』としか言いようがないぞ晴喜」  友人の一人、暁四郎(あかつきしろう)はため息を吐き、俺の言葉を楽しんでいるかのように笑っているもう一人の友人、春風美知子(はるかぜみちこ)は答える。 「はるくんはやっぱり面白いよねー!知ってる?はるくん結構人気あるんだよ?隠れファンがたーくさん!もちろん私もはるくんのファンの一人だからね!」 「……いや、別にいいし」  頬をかきながらため息を吐いていたその時、机の上に置いてあったプリントを一枚、手を伸ばす男の姿があった。  黒い眼鏡をかけたこのクラスの優等生、黒雪海(くろゆきうみ)だった。  彼もある意味、俺の友人の一人でもある。
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