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「くっそー……熱ィ……」
日差しが俺の身体を照らし、このままでは溶けて消えてしまうのではないだろうかと思えてしまう。
大量の数学のプリントが終わった後、太陽が強く俺を苛めるように、照らし続ける。
手で扇ぎながら歩き続けると、隣で笑い声が聞こえてくる。
「あはは!はるくんもしかして夜型?」
「うるせぇよ……」
「だって今の季節は秋だよ?こんな寒い日なのに暑いなんて……まるで漫画とかに出てくる『吸血鬼』みたいだよ?」
「…………阿呆」
春風の言葉に、少しどきっとしてしまった。
だが、いつもの顔を作り、春風の頭を軽く叩いた後、彼女から離れるように歩き出す。
春風は相変わらず笑っているままだった。
(そりゃあ、俺は今は『吸血鬼』だもんな……)
俺はもう『人間』ではないと実感してしまう言葉だったのかもしれない。
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