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「もう十分だよ。僕だって謝らなくちゃならないのに、羽村さんまでそんなんじゃ、謝り合いで夜が明けそうだ」
すみません、ありがとうございました。
こちらこそ申し訳ない。
いえいえこちらこそ。
……そんな終わりの見えないやりとりが容易に浮かんで、私はふき出した。
「それは……そうですね……」
「ね? だから、謝罪も感謝ももうやめよう。せっかくだし、楽しく飲もうよ」
「はい」
そう答えると、気を取り直してビールを喉に流し込む。
久々にゆっくり飲める時間を取れたんだ。
神谷さんの言う通り、楽しく過ごす方がいい。
綺麗に盛りつけられた料理が手元に届き始めた頃には、私も神谷さんも、随分ほぐれた様子で会話を楽しむことができた。
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