《3》

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その書類を作成したのは私だけれど、コピーをしたのは、万年……いや、山路係長だ。 チラリと係長のデスクの方を見ると、コピーをした本人は、素知らぬ顔で仕事をしている。 課長の声は低いなりに良く通るから、確実に聞こえている筈なのに、白々しく聞こえない振り。 「自分がやりました」と名乗り出る気はないらしい。 …ちょっと コピーもまともに取れないんですか? そして、自分の不手際を部下に押し付けですか? ………腹立たしい。 係長が、いつまで経っても係長止まりな理由が、今何となく分かった気がする。 だからといって「私がコピーしたんじゃありません」と言った所で、課長にしては言い訳に過ぎないだろうし、告げ口しているみたいで気分がよろしくない。 「…申し訳ございません」 仕方なく、ダメ係長の代わりに課長に謝罪。 以後気を付けます…の意を込めて。
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