32476人が本棚に入れています
本棚に追加
羽鳥課長からのクビ宣告を待っている私を、彼は何故か興味深そうに、品定めするかのように見てくる。
そして、イスの背もたれに預けていた体を起こして前のめりの姿勢に変え、デスクに肘を付いた。
立てた肘の先にある大きな手の甲に顎を乗せた課長は、ゆっくりと間を取ってから口を開く。
「……お前、なかなか良い度胸してるじゃねーの」
「………」
口元は笑っていても、目は微塵も笑っていない。
人の心を見透かすような鋭い眼差しは、何とも威圧的だ。
「確か……俺が本社に行ってる間に契約社員として、入って来たんだったよな?」
「…………はい」
たかが契約社員の分際で、デカイ口を叩くな…とでも言いたいのか。
……かと思えば
「えー…っと……名前、なんてったっけ?」
突然のすっとぼけ発言。
思わず「………は?」と、聞き返した。
最初のコメントを投稿しよう!