《3》

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ならば、目には目を、歯には歯を…… 失礼には失礼をお返ししてやろうじゃない。 どうせ、クビになるのだろうし、怖いものなど何もない。 スウッ…と息を吸い込み、それを吐き出しながら 「……貴方みたいな方が一課の長を任されているのが不思議でなりません」 目の前に居る人物を皮肉る。 「あ?」と、片眉を吊り上げる課長。 「私、先日ご挨拶致しましたけど。その部下の名前を忘れるなんて…聞いて呆れます」 冷やかに課長を見下ろしながら言うと、彼は「………ふーん」と気のないような反応。 「自分の部下の名前を覚えられないような方に、課長を名乗る資格はないと思います」 フロア内は、季節外れの冷房が効いているかの如く、冷えた空気が漂っている事だろう。
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