《3》

31/32
32321人が本棚に入れています
本棚に追加
/718ページ
「………」 課長は黙り込み、顎に生えた髭の感触を確かめるように撫でながら私を眺めてくる。 どうやら、顎を撫でるのは癖らしい。 「では、仕事がありますので、今度こそ失礼します」 「………」 体を180度反転させ、脇目も降らずに一目散に自分のデスクへと帰還する。 「…スッゲー……」 「さすがゆとり世代……怖いものなしじゃね?」 途中、ヒソヒソと囁かれる言葉達。 それを聞き流しつつ ゆとり世代だから何だ、ゆとり世代はそんなに特異なものなのか…と、胸の内で吐き出す。 自分達だって、そんなに歳は変わらないのに。 ゆとり世代は、私の他にもたくさん居るってのに。 …というか ゆとり、舐めんなよ。
/718ページ

最初のコメントを投稿しよう!