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「………」
課長は黙り込み、顎に生えた髭の感触を確かめるように撫でながら私を眺めてくる。
どうやら、顎を撫でるのは癖らしい。
「では、仕事がありますので、今度こそ失礼します」
「………」
体を180度反転させ、脇目も降らずに一目散に自分のデスクへと帰還する。
「…スッゲー……」
「さすがゆとり世代……怖いものなしじゃね?」
途中、ヒソヒソと囁かれる言葉達。
それを聞き流しつつ
ゆとり世代だから何だ、ゆとり世代はそんなに特異なものなのか…と、胸の内で吐き出す。
自分達だって、そんなに歳は変わらないのに。
ゆとり世代は、私の他にもたくさん居るってのに。
…というか
ゆとり、舐めんなよ。
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