◇◇ 第20章 静かな対決 ◇◇

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エプロンを着けて、お湯を出す。 思わず一緒にため息をついた。 カチャカチャと洗い物を始めたあたし。 手伝うよ。って言いながら和也さんが、キッチンに入ってきた。 後ろから、そっとお腹と胸の間に手を回され抱きしめられる。 和也さんが、少し屈んで、あたしの右頬に、自分の左頬を着けて囁いた。 「璃子、辛くないか? ずいぶん酷い事を言われたんだろ?」 和也さんが、あたしの心を窺うように聞いてくる。 「………」 「璃子は、がんばりすぎるから、本当に辛くなる前に、俺に言えよ」 「……うん、ありがとう」 あたしは、静かに答えた。 「もったいないね」 動けなくなったあたしの代わりに、和也さんが出しっぱなしのお湯を止めた。 「璃子……」 和也さんが、耳元であたしの名前を甘く囁く。 背中に感じる和也さんの温もりと、鼓動に、あたしは優しく包まれる。 そっとあたしの顎に和也さんの細く長い指が触れ、そのままゆっくり後ろに振り向かされる。 「大丈夫。俺が、絶対に守るから」 言葉と同時に、優しく唇を塞がれた。 和也さん…… あなたがいれば……いてくれれば あたし、がんばれます。 心の声は届かないけど 代わりに、あたしは、優しく甘く和也さんに包まれた。          
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