◇◇ 第20章 静かな対決 ◇◇

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俺は、優輝がいつも飲んでる缶コーヒーを買って、休憩室に近づいた。 普段なら、神経を張り巡らせている優輝が、すぐに俺の気配に気づくはずだが 今夜の目の前の優輝は、どっぷり自分の世界にはまりこんでいるようだった。 いったい何があったんだ!? 俺は、心を落ちつけ、休憩室に近づいた。 トントン…… 開いたままの扉を叩いた。 「お疲れ」 俺は、声をかけて優輝にコーヒーを手渡した。 「あっ、あぁ。和也、まだ居たのか?」 優輝は、俺が居ることに驚いていた。 「R社どうだった?」 「あぁ。普通に顔合わせして来た」 考えているのは仕事の事ではなかったらしく、優輝は、かなり適当に答えた。 「誰に会った?」 「篠原部長と武藤課長」 「そうか、璃子の仕事ぶりはどうだった?」 「完璧だったよ。フォローのタイミングも上手く出来てた。和也のコピーって感じだった。よく教育されてたよ」 「そうか。それはよかった」 璃子の話題に振ると、それまでの口数の少なさとは違い、優輝の表情に変化が出た。 「篠原さん、璃子を食事に誘って来たぞ」 「あぁ、いつもの事だ。アイツ女に手が早いからな」 「一応、気をつけるように璃子にも言っといたけど、篠原は危ないぞ」 「あぁ。気をつけるように俺からも伝えておくよ」 暫しの沈黙…… 会話が……うまく続かない。 「じゃあ、優輝、お疲れ」 あまりの優輝との空気の悪さに、俺は、休憩室を出ようと席を立った。 「本当に聞きたいのは、そんな事だったのか?」 出て行きかけた俺に、優輝は後ろから声をかけた。 .
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