◇◇ 第20章 静かな対決 ◇◇

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「あぁ」 俺は、優輝に背を向けたまま返事を返した。 「本当に?」 今までで初めての優輝の…… 親友の挑発的な言葉だった。 「何かあったのか?」 俺は、缶コーヒーを握りしめ、そのまま外を向いたまま聞いた。 「そうだな。橘の酒を飲まされて助けた時も、そしてついさっきも、璃子は俺の前で泣いてた。 だから、抱きしめて……キスして……そのままホテルで抱いた。肌を合わせて、俺が満たしてやっ……」 「やめろよ!」 俺は、優輝の言葉を遮りながら振り向いて、優輝を睨み付けた。 優輝は……笑っていた。 「和也、相変わらず分かりにくいな。お前の感情は。 それじゃあ璃子には伝わらないだろ? もっと分かりやすく、お前がどれだけ璃子を愛しているのか、みっともないくらい嫉妬している姿を見せてやれよ」 「……優輝」 「そうすれば、璃子は……もっと強くなれる」 「……」 「もっとがっちり愛情で包んで、必要の無い不安から解放してやれよ」 「……わかってるよ」 今回の出張で、3日間も連絡しなかった事を言っているのだろう。 でも、連絡しなかったんじゃない。出来なかったんだ。俺は、反論の気持ちを心で叫んだ。 「わかってないから言ってるんだよ。 次に、もし、璃子が俺の前で涙を流したら……」 「もう次はない!」 俺は、優輝の言葉を遮り言った。 「そうか……ならいいんだ」 優輝は、うっすらと微笑みながら静かに言った。 お互いに手の内を知り尽くした親友同士…… お互いの剣(つるぎ)が、静かに音をたてた。 .
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