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寝ちゃったか……
俺は、規則正しい呼吸をしはじめた璃子を、そっと見つめた。
相変わらずの『無防備』に微笑む。
普通の女性なら、こうしてホテルに連れ込んでいると言うことが、いったいどういう事を示しているのか、分かりそうなもんだけどな。
『……泊まっていこうか?』
そう言ったとき、下心を感じさせないように、イヤラシさを感じさせないように、そして何より怖がらせたり、びっくりさせないように、俺は、璃子の様子を窺いながら遠慮がちに聞いた。
でも、それは余計な配慮だったのか?
天真爛漫に喜びを表す璃子に、俺の下心は、見事に洗い流された。
それ以上に、寛いで、俺に無邪気な笑顔と、無防備な寝顔を見せる璃子に、愛おしさが増す。
かわいすぎるだろ……
俺だけに見せる上気した顔。
俺だけに見せる警戒心の無い柔らかな笑顔。
俺だけに見せる拗ねた顔。
俺だけに見せる……
そのすべてが愛おしい。
時折、璃子を壊してしまいたいほど強く抱きしめたい衝動に駆られる。
璃子……そんな俺の気持ちがわかるか?
お前のすべてを俺のものにしたい。
そんな獣のような俺の気持ちがわかるか?
スヤスヤと寝息をたてる璃子に心の声で語りかける。
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