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ほらっ、お姫さまのベッドルームみたいに、天井からレースのカーテンみたいなのが、ベッドを覆っているやつ。
『蚊帳』なんて言っちゃったから、ムードもぶち壊したけれど、寝室は、とても落ち着いたシックな色合いで纏められていた。
「はぁ……ステキ」
まるでシンデレラ気分のあたしは、行く部屋、行く部屋で、感嘆の声をあげた。
「せっかくだから、お風呂に入って、ゆっくりしようか?」
和也さんの甘い声が耳に届く。
「……ふぅん」
夢見る世界から戻れなくて、返事がうまく返せない。
「璃子、せっかくだから、お風呂に一緒に入ろうか?」
「……ふぅん……んっ!?」
和也さんが、いつも通り、あんまりサラリと言うから、ついついお返事しちゃいましたけど
「むっ無理です!」
一気に現実に引きずり戻されたあたしは、慌てて訂正した。
「あんな大きなお風呂に、ひとりで入るなんて寂しいだろ?一緒に入ってあげるから」
なんて……
ご飯を一緒に食べよう。食べさせてあげるよ!みたいな感じで、サラリと言ってるけど
おかしいですよ和也さん!
「いいんです!ひとりでゆっくり入ってください」
あたしは、ピシャリと断った。
「……そっか」
なんて、和也さんは、ちょっと寂しい表情を浮かべる。
あっ……
せっかくこんなステキなプレゼントをしてくれてるのに、あたしったら、ちょっと余裕無さすぎだったかな。なんて……
チラリと顔を覗いたら
和也さんは、ニヤリと笑って、あたしの様子を窺ってた。
「あっ!やっぱりわざとからかってる!」
突っ込むあたしに
ハハハ……と、和也さんが声をあげて笑う。
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