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和也さんのあがった後に、お風呂に入る。
「璃子、来てごらん」
入る前に、和也さんが、入浴剤を教えてくれた。
もちろん薔薇の薫りをチョイスして、お湯に溶いて、沸き立つ香りに包まれ、気分はすっかりお姫さま。
ワンピースのチャックに手をかけ、脱ごうとしているのに、浴室から出ていこうとしない和也さんを発見し、押し出した。
「もぉ!油断もスキもないんだから」
ジャグジーのお風呂に浸かって、浴槽の縁に、うつぶせで手をかけ顔を置く。
眼下に広がる夜景は、美しすぎて、ついつい長風呂をしてしまいそうだった。
「はぁ……極楽極楽」
こんな素敵なところに泊まれちゃうなんて……本当にステキ♪
あたしは、ゆったり湯船に浮かんでみる。
そして……気がついた。
あれっ!?泊まる!?
一瞬、村上姉さんのニヤついた顔が浮かぶ。
『ほらねっ……』なんて村上姉さんの声まで聞こえた気がした。
っていうか……あたしが泊まるって言っちゃった!
『璃子ったら……大胆♪』なんて村上姉さんの声が聞こえる。
違う違う!
和也さんは、泊まってもどっちでもいいって言ってたし
あたしは……ただ、こんな素敵なところに泊まってみたかっただけで……
そう!そうなんだ!
あたしも和也さんも、なんらイヤらしい事は考えてないんだから。
もぉ!村上姉さんが、勝負下着なんて言うから、変なこと考えちゃったじゃん!
あたしは、首を振って邪念を払った。
お湯のせいか?思考のせいか?のぼせてる。
やっぱり、広すぎる浴室は、庶民のあたしには、どこか落ち着かない。
あたしは結局、普段通りにちゃっちゃと流してお風呂からあがった。
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