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「じゃあ、リクエストに応えて、コンビニのおでんを買いに行こうか?今年は、俺が『拓にぃ』の代わりにご馳走しましょうかね?」
優輝さんが、にこりと笑った。
「優輝さんも身体の中から温まりたいんですね?」
ちょっと皮肉を言ってみた。
「そう言うこと。行くよ!」
「はい!」
あたしたちは、並んでコンビニまで歩き始めた。
優輝さんは、さりげなく車道側を歩いてくれて、あたしをエスコートしてくれる。
「しっかし、和也も何もイブの日に出張に行かなくてもいいのになっ」
「仕方ないですよ。お仕事ですから」
優輝さんが、ニヤリと笑って、あたしの顔を覗き込む。
「えっ!?何ですか?」
「んっ?不満や愚痴のひとつでも出るかな?って思って会話を振ってみたんだけど、言わないね」
「……」
「璃子、また大人になったな」
「あたし、和也さんに、不満や愚痴なんて無いですもん。
そんな事、言いませんよ」
恥ずかしそうに下を向いて答えたあたしに、優輝さんが、優しく微笑んだ。
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