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「ありがとうございました~」
コンビニの店員の声に送り出され外へ出る。
吹き荒れる冷たい風が一気に肌に突き刺さる。
「わぁ、寒いですね」
「そうだな。璃子風邪ひくなよ」
「優輝さんこそ」
「俺は大丈夫だよ」
「あたしも大丈夫ですよ。若いですから」
ふたりで目を見合わせて笑う。
優輝さんの醸し出す雰囲気に、優しく包まれる。
肩の力を抜いた会話は、テンポ良く、あたしの心をどんどん緩ませ
気がつけば、古くからの友人と話をしているかのような錯覚に捕らわれる。
優輝さん……さすがです。
カッコいいだけではなく、この飾らない雰囲気が、相手の心を和ませ開かせる。
これが、優輝さんの最大の武器であり、最大の魅力。
この魅力に取りつかれた女性の気持ちがわかる気がした。
「送っていただいて、お夕飯までご馳走していただいてありがとうございました」
マンションの入口まで来たあたしは、優輝さんを見上げて言った。
「あぁ」
優輝さんは、温かな眼差しを向けた。
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