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「璃子、今日の予定は?」
火照りがおさまらないあたしをよそに、自分の席に戻った和也さんが、声をかける。
「特に……何もないよ」
「じゃあ、朝食の後、ちょっと出掛けようか」
「いいけど、どこに行くの?」
「知り合いの先輩の所に行くから、ちょっと付き合ってほしいんだ」
「うん。じゃあ食べ終わったら準備するね」
あたしは、明るく微笑んだ。
久しぶりのお出かけ。
あたしはウキウキしながら、お気に入りのワンピースにフリルのかわいいコートを着てブーツを履いて準備を整えた。
和也さんは、デニムにハイネックのセーターにダウンを着ていた。
いつものスーツ姿も、スマートで素敵だけど、ラフな格好に、無造作にさらりと下ろされた髪型もまた違った雰囲気で、いつもよりも2~3歳若返り、ウットリするカッコよさだった。
「行こうか?」
甘い声で言われれば、すっかりメロメロで、あたしは子犬のようについて行った。
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