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そんなぁ……
みんなとは、キャリアも違うし、そもそもの経験値と言うか……人間としてのキャパが違う。違いすぎる!
でも、NOと言えない圧力のかかった状況の中、あたしは仕方なく、また、「勉強させていただきます。よろしくお願いいたします」と、頭を下げた。
********
「和也、ちょっといいか?」
「あぁ」
俺は、そのまま優輝に会議室へ誘われた。
「俺には、璃子と組ませる本当の理由を話せ」
優輝は、窓の外を見ながら俺を振り返る事なく穏やかに言った。
「そうだな。璃子が戸惑わないように、少しずつ公の場に慣れさせる。璃子の親父さんとの約束のひとつだよ。経験豊富な優輝となら、華やかな空間にもすんなり慣れる事ができると思ってな」
俺はサラリと理由を告げた。しかし、優輝は、それでは納得しなかった。
「経験ならお前とは変わらない。本来なら、和也、部署も同じで、上司のお前が連れて行くのが筋だ。今後の人生を考えても、お前がパートナーであるべきだ。そうだろ?そんな建前ではなく、本当の理由を言えよ」
「……」
「何かあるのか?お前が璃子を守れない理由が」
鋭いな優輝。
これ以上、うわべだけの理由では、誤魔化せそうになかった。
「なんだか嫌な予感がするんだ」
俺は、素直に白状した。
「嫌な予感?」
優輝は心配そうに俺を見つめる。
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