2122人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
********
どうしよう。
あたしは、静かにデスクに戻った。
「何だったの?」
村上姉さんの質問に、あたしはパーティーの話をした。
「素敵じゃない♪楽しんでいらっしゃいなっ」
きっと冴子さんと一緒で、心臓に毛の生えてるタイプの村上姉さんは、楽しそうに言った。
キラリッ……
その時、ふと、あたしは村上姉さんの左手の薬指の指輪が見えた。
「あっ」
「んっ?」
「村上姉さん、それっ!」
思わず指差した、あたしの人差し指を、村上姉さんが、ガッツリ掴んだ。
「璃子!そのまま黙って給湯室においで!」
「はぃ」
あたしは、口を閉じて、ニコニコしながら村上姉さんの後ろをついて行った。
給湯室に入った途端、あたしは堪らず口を開いた!
「村上姉さん、それっもしかして……エンゲージリングですか!?」
「んっ、違うわよ」
なんて言いながらも、手は芸能人が婚約記者会見でするように、指を揃えて指輪が綺麗に見えるようにコチラに向けていた。
そうだった!村上姉さんは、お正月に坂本さんのご両親に会いに行ったんだった!あたしは、一気に年末の事を思い出した。
最初のコメントを投稿しよう!