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「待つよ」
「えっ?」
「前にも言ったけど、璃子が、きちんと成長するまで、待ってるから」
「和也さん」
動揺していたあたしは、手に持っていたフォークを床に落とした。
和也さんが、サッと立ち上がり、あたしの横に来ると、フォークを拾ってくれる。
そのまま、あたしの横で、あたしの肩に手を置きながら、顔を覗き込んだ。
「坂本の気持ちもわかる。俺としては、今、璃子がしている右手の指輪を、本当は、左手薬指にしてもらいたいんだけどね」
「和也さん」
思わずシリアスになってしまった空気。
どうしよう。会話の落とし所が見つからないあたしは、目を泳がせた。
「クスッ」
和也さんが、突然吹き出した。
「えっ!?」
「お仕置きだよ」
「何で?」
「坂本とおんなじ事して、指輪を渡してるのに、坂本ばっかり誉めるから」
「なっ!?そっそんなことないよ。あたしにとっては和也さんの方が、1番だし、素敵だし、カッコいいし……」
チュッ……
「璃子慌てすぎ」
和也さんは、あたしの頬にキスをした。
からかわれた事は、解っていたけど、甘い言葉と笑顔にキス。朝からノックアウトだった。
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