2122人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
和也さんの車に乗って着いた先は、10階建てビルの地下駐車場だった。
「ここは?」
「先輩の経営しているブティックだよ」
和也さんサラリと言っていますけど、明らかに高級ブティックですよね?普通の人が入ることの出来ない佇まいに、あたしは一気に緊張した。
エレベーターに乗り込むと、和也さんは10階を押した。
「1階じゃないの?」
不思議に思って聞くあたしに
「10階に直接でいいんだよ」
って、和也さんは笑って言った。
エレベーターの扉が開くと同時に、スタッフ数名の出迎えにあった。
「松本様いらっしゃいませ」
「こんにちは。寺坂さんいらっしゃいますか?」
「ええ。そろそろだろうと、社長もお待ちかねでしたよ。さぁこちらへ」
感じのいいベテランの女性の方が、和也さんを案内する。あたしは、静かに和也さんの後ろについて行った。
大きな2枚の扉の向こうが、社長室のようだった。
ノックをした女性は、
「社長、松本様がいらっしゃいました」
と、洗練された動きと共に声をかけた。
そのまま、大きく開かれた扉の向こうに通される。
とても広い、社長室兼応接室が広がっていた。
「おぉ、和也!」
さすが本職だけあって、バリッと着こなされたスーツ。見るからにやり手とわかる男性が椅子から立ち上がった。
「お久しぶりです寺坂さん。またよろしくお願いします」
和也さんは、笑顔で答えた。
最初のコメントを投稿しよう!