◇◇ 第27章 パーティーデビュー ◇◇

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「じゃあ、璃子ちゃんとは長いお付きあいになるから、キチンと正確なサイズをいただこうかな」 『……長いお付きあい?』 一瞬、引っ掛かりを感じたが、聞き返す事も出来ず、そのまま流れた。 寺坂さんは、胸ポケットから眼鏡を出してかけると、慣れた手つきでメジャーとペンと用紙を用意した。 そして、あたしを大きな三面鏡の前に立たせた。 眼鏡をかけた寺坂さんは、甘さの中に知的さが加わり、思わず見とれてしまうほどだった。ふんわりと薫る上品なコロンの香りが、ひときわ男っ振りを上げる。 肩幅に、肩から手首、背中にと、細部に至るまで手際よく自分が測られ、数字で表されていった。 「じゃあ……最後に」 寺坂さんは、そう言いながら眼鏡を外し、ペンと用紙をデスクに置いた。そして、真面目な顔をしたまま、あたしの瞳をじっと見つめ、両手を広げた。 「おいで……」 「?」 「さぁ、おいで……」 あたしは、意味が解らずキョトンとしながらも、まるで魔法にでもかかったかのように、一歩、歩み寄った。 「ダメです!」 和也さんの声が、一瞬辺りに響いた。 吸い寄せられるように一歩進んだあたしを引き戻すように、駆け寄った和也さんが後ろから羽交い締めするように抱きしめる。 えっ!? 「和也、邪魔するな!」 一気にポーカーフェイスの崩れた寺坂さんが、吐き捨てた。 「璃子に何するんですか?」 慌てた和也さんが、噛みつくように言い返す。 「バカ!1番大切な測定だろっ」 「何の測定ですか?」 「抱き心地だよ」 「そんなの洋服に必要ないです!」 「和也、ひと回りも年下の子なんて、なかなか出逢わないんだから、ちょっとぐらいいいだろっ」 「まったく!相変わらず、油断も隙もないですね」 「和也、1回だけっ」 「ダメです!」 ちょっ、ちょっと、何言ってるんですか? すでに会話から取り残されていたあたしは、顔を真っ赤に染めて下を向いた。
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