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「お待たせ」
寺坂さんが、いくつかの候補のドレスを持って戻って来た。
壁のフックに引っかけ、隣の棚に靴と鞄を並べ、トータルコーディネートを見る。
「俺は、これかな。なっ和也」
寺坂さんは、和也さんに声をかけながら、背中が大胆に開いた真っ赤なドレスを差し出した。
「ええっ!?」
ドレス以上に真っ赤になって動揺するあたしをよそに、和也さんが冷静に言った。
「それは、まだ璃子には早すぎます。冗談は、やめてください」
淡々と言っちゃった和也さんに相槌をうったものの、
そんなに、即答でハッキリ断らなくても……ちょっとは着てるところを想像して考えてみてよ……
なんて、女としての魅力不足に、あたしは、ちょっと凹んだ……
結局、和也さんは、淡いピンク色で、袖口のドレープが特徴的な、丈は膝上だけど、露出の少ない、おとなしめのワンピースを選んでくれた。
着替えて出てきたあたしに、
「うん、似合う。綺麗だよ」
って、和也さんが恥ずかしげもなくサラリと言ってのける。
「ありがとう……」
言われたあたしは、頬を染めながら恥ずかしくって俯いた。
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