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準備を整え、冴子さんと村上姉さんの後ろについて行く。休憩室の和也さんと優輝さんに合流した。
すでにバリッとシワひとつないタキシードに着替えているふたりは、いつも以上に男っぷりが上がり、思わずため息が出てしまうほどに目を引く。
和也さんの目の前に行くと、包み込むような柔らかな視線であたしを見下ろした。
「松本部長、璃子どうですか?クリンとした睫毛と、食べたくなるゼリーのような唇が、ポイントです」
すかさず村上姉さんが、ニヤニヤ笑いながらわざと聞く。
「なかなかいいね。村上サンキュッ」
和也さんは、爽やかに返事を返した。
「あっ、ちなみに今食べちゃうなら、お化粧直し間に合いますからどうぞ」
村上姉さんは、ここぞとばかりにツッコミを入れる。
「ちょっ、ちょっと村上姉さん!なんて事言ってるんですか……」
動揺するあたしをよそに、
「美味しいものは、あとで、ゆっくりいただくよ」
和也さんは、恥ずかしげもなくサラリと返した。
「じゃあ、行こうか」
あたしたち4人は、社長の計らいで、運転手つきの社用車で会場のホテルまで送ってもらった。
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