1817人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
寝ちゃったか……。
俺は、席を立つと璃子の方へ向かい、璃子を椅子から抱き上げた。
抱き上げた瞬間、璃子の瞳がパッと開き、目の前の俺の瞳を捕らえた。
ドキッ……
しかし、すっかり酔っていて、据わったままの瞳は、すぐにクシャっと閉じられ……
耳元で、ぽつりとひと言呟かれたあと、頭はゆっくりと俺の首もとへと収まった。
「和也さん……大好き」
不意打ちの純粋な言葉は、容赦なく俺の心を掴んで撃ち抜く。
大人をからかうなよ。
間違いなく、俺は、今、ガラにもなく紅くなっている。
よかった。寝ていてくれて。
酔っぱらっていてくれて。
顔を見られなくて、よかった。
そのまま寝室に運び、静かにベッドに下ろす。
「璃子……俺もだよ」
そっと、布団と心からの素直な言葉をかけた。
最初のコメントを投稿しよう!