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「今はー」
「今は?」
璃子は、瞳を閉じたまま、でも、何かを思い出すように、照れながら、恥ずかしがりながら、にっこり笑った。
「……大好き」
おっ……と。全部すっ飛ばして結論が出た。
うれしいが、男としては、もう少し深く聞いてみたい。
俺は、ちょっとカッコ悪いが会話を続けた。
「どこが?」
「んっ?どこって……全部」
おっと。日頃、恥ずかしがって、なかなか本音を言わない璃子のストレートパンチは、解っていても避けづらい。
「具体的に、どこが?」
「んーっ。すれ違う時に、にっこり笑ってくれたりー。
大丈夫かって声かけてくれたりー。
優しい眼差しをたっくさんくれるようになったところっ」
えっそんな事!?
正直、たったそれだけで!?と、俺の方が聞き返したくなった。
今まで璃子が気づかなかっただけだろ?ってツッコミを入れたい。
「だから、和也さん……だぁい好き」
璃子は、それだけ言って幸せそうに微笑むと、テーブルに突っ伏した。
そして、そのままスースーと規則的な呼吸を始めた。
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