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「隼人も、冴子も、優輝も、俺のガキの頃からの友達は、みんな俺の事情を知っていて当然だろ?
拓巳は、グループ内で隼人のお眼鏡にかない、隼人が俺の秘書に抜擢したんだ。あの年末の食事会の少し前に顔合わせをした。
だから、拓巳は、業務上知りうる人間だった。
璃子からしたら自分だけ知らされていなかったと感じて当然だね。
だけど、みんなは、ただの段取りの段階で知っていたに過ぎない。
本当に大切な人には、自分の口で心を込めて、きちんとタイミングを考えて伝えるよ。
璃子、特に俺にとって大切な人であるキミには、そんな軽はずみには言えない。璃子の人生を預かるんだからね」
……人生を預かるって。
ゆっくり丁寧に語られる和也さんの話を聞いて、あたしは胸がいっぱいになった。
「解ってもらえたかな?」
ゆっくりあたしを引き離した和也さんが、にっこり微笑んだ。
「……でも、あたしには、今だったのはどうして?
やっぱり頼りないから?」
あたしは、声を振り絞って聞いた。
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