◇◇ 第30章 小さな告白? ◇◇

26/38
1662人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「隼人も、冴子も、優輝も、俺のガキの頃からの友達は、みんな俺の事情を知っていて当然だろ? 拓巳は、グループ内で隼人のお眼鏡にかない、隼人が俺の秘書に抜擢したんだ。あの年末の食事会の少し前に顔合わせをした。 だから、拓巳は、業務上知りうる人間だった。 璃子からしたら自分だけ知らされていなかったと感じて当然だね。 だけど、みんなは、ただの段取りの段階で知っていたに過ぎない。 本当に大切な人には、自分の口で心を込めて、きちんとタイミングを考えて伝えるよ。 璃子、特に俺にとって大切な人であるキミには、そんな軽はずみには言えない。璃子の人生を預かるんだからね」 ……人生を預かるって。 ゆっくり丁寧に語られる和也さんの話を聞いて、あたしは胸がいっぱいになった。 「解ってもらえたかな?」 ゆっくりあたしを引き離した和也さんが、にっこり微笑んだ。 「……でも、あたしには、今だったのはどうして? やっぱり頼りないから?」 あたしは、声を振り絞って聞いた。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!