1664人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「10年前から決まっていたんだ」
「えっ!?」
頭の上からぽつりと和也さんの声が落ちてきた。
「まだ、俺が学生だった10年前。先にグループに就職した隼人と共に、いずれはグループを背負えるようになってほしいと、今の会長のじいさんに言われたんだ。
隼人と俺は、じいさんの孫でね。俺と隼人は従兄弟になるんだ。
隼人は、社長として育てる為にグループに入社させたんだが、俺は、10年後に使える男になって戻って来いと言われたんだ。
俺の血縁は、社内では取締役以外には秘密で、今までやって来た。そして、今年が約束の10年目。
5月迄で退職してグループに戻る事になってたんだ」
あたしは、じっと和也さんの腕の中で、鼓動と一緒に伝わってくる和也さんの言葉を聞いていた。
最初のコメントを投稿しよう!