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「いいや。さっきも言っただろ?璃子の事は、誰よりも信頼しているって」
「じゃあ、なぜ?」
見上げた先の和也さんは、照れたように笑った。
「俺を……璃子には、何にも無い本当の俺自身を見ていてほしかったから」
「えっ!?」
「璃子とは、人間の本質的な部分で、強く繋がっていたかったから」
「……和也さん」
相変わらず、赤面するほどカッコいい事をサラリと言っちゃう和也さんに、あたしの方が、真っ赤に染まった。
「俺は、何も変わらないし、璃子の前からいなくなる事もない。ずっと璃子の傍でキミを守り続けるよ。
だから、例え専務だろうが、俺の付録が変わっても、関係なく、璃子には、ずっとそばにいてほしい」
真っ直ぐに向けられた熱い眼差しが、あたしを掴んで離さなかった。
「ずっと前に、隠してる事があるって言ったのは、この事だったの?」
「あぁ……ごめん。悲しい思いをさせてしまって」
「ほかには、ない?」
「ないよ」
「本当に?」
「あぁ。璃子の甘いニンジンの件とで、おあいこだな」
「えっ!?ニンジン!?」
「あぁ」
「ニンジンと一緒じゃないよ!レベルが違うでしょう!?」
「そう?俺にとっては、甘いニンジンの方が問題だったな」
和也さんは、ニヤリと笑った。
すごいよ和也さん。
どんなにあたしがバタついても、大したことないよって、すべてを包み込まれてしまう。
敵いっこないじゃん。
あたしは、もう一度和也さんの胸に顔を埋めた。
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