◇◇ 第30章 小さな告白? ◇◇

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「いいや。さっきも言っただろ?璃子の事は、誰よりも信頼しているって」 「じゃあ、なぜ?」 見上げた先の和也さんは、照れたように笑った。 「俺を……璃子には、何にも無い本当の俺自身を見ていてほしかったから」 「えっ!?」 「璃子とは、人間の本質的な部分で、強く繋がっていたかったから」 「……和也さん」 相変わらず、赤面するほどカッコいい事をサラリと言っちゃう和也さんに、あたしの方が、真っ赤に染まった。 「俺は、何も変わらないし、璃子の前からいなくなる事もない。ずっと璃子の傍でキミを守り続けるよ。 だから、例え専務だろうが、俺の付録が変わっても、関係なく、璃子には、ずっとそばにいてほしい」 真っ直ぐに向けられた熱い眼差しが、あたしを掴んで離さなかった。 「ずっと前に、隠してる事があるって言ったのは、この事だったの?」 「あぁ……ごめん。悲しい思いをさせてしまって」 「ほかには、ない?」 「ないよ」 「本当に?」 「あぁ。璃子の甘いニンジンの件とで、おあいこだな」 「えっ!?ニンジン!?」 「あぁ」 「ニンジンと一緒じゃないよ!レベルが違うでしょう!?」 「そう?俺にとっては、甘いニンジンの方が問題だったな」 和也さんは、ニヤリと笑った。 すごいよ和也さん。 どんなにあたしがバタついても、大したことないよって、すべてを包み込まれてしまう。 敵いっこないじゃん。 あたしは、もう一度和也さんの胸に顔を埋めた。
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