◇◇ 第30章 小さな告白? ◇◇

29/38
1665人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「さぁ、お風呂に入っておいで。誕生日に風邪をひかれちゃ困るからね」 「うん」 和也さんの笑顔につられて、一緒に微笑んだ。 「帰りがずいぶん遅かったけど、お友達と、ずいぶん盛り上がったみたいだね」 「あーっ、う、うんっ」 あたしは、濡れたヒールを脱ぎながら答えた。 「学生の時の友達?」 「ううん、違うよ」 「えっ?」 一瞬、和也さんの声のトーンが変わった。 ミスった! 泣きわめき、疲れた心は、緊張から解放され、なんにも考えずに、素直な気持ちを答えていた。 「あっ、あぁ、最近知り合ったお友達……」 「最近?」 「うんっ」 「もしかして……男?」 「えっ!?そんな訳ないじゃん。女の人だよ」 「そう」 「うんっ……です!」 「どこに行ってたの?」 「あの大通りの角の大きなホテルのカフェ」 「そう」 和也さんの表情が、少し固くなった。 「さぁ、お風呂に入らないと風邪ひいちゃう♪そうしよう。そうしましょう」 あたしは、わざと明るく振る舞いながら会話をぶち切ると、自分の部屋へと向かった。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!