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「だって」
「だって?」
「初めての会話なんだもん」
「初めて?」
「今までは、あたしは和也さんの予定をすべて把握していて、和也さんもあたしの予定を把握しているから、『土曜日お休み?』とかって、聞かれる事もないし、聞く必要もなかったじゃない?
今も、あたしは、幹部の日程表を確認するから、和也さんの予定をザックリだけど把握していて。でも、和也さんは、あたしの予定を知らないでしょ。
だから、なんだか……」
「なんだか?」
「恋人同士の会話みたいで、くすぐったい」
「そうだな」
「なんだか新鮮」
「そうだな」
ふたりで瞳を合わせて微笑みを交わした。
「土曜日って……あっ」
あたしは、思わず和也さんを見つめた。
「んっ?」
「もしかして……知ってたの?」
「当然。一緒に誕生日を祝おう」
和也さんは、余裕の笑みを浮かべた。
「……ありがとう。まさか、知ってるなんて思わなくて」
「去年から知ってたよ。だけど、去年、面識も無いのに突然おめでとうって言っても、ただの気持ち悪い男になってただろ?
だから、2年分祝おう」
「うん」
あたしは、うれしくて胸を高鳴らせた。
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