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「璃子ちゃん、誕生日プレゼントはもらったの?」
真っ赤になって、ドキドキしているあたしに、何食わぬ顔した更科さんが、さらに会話を続けています。
「えっ、えっ!?あっ、更科さんのお店に連れて来ていただいているので、十分です」
動揺が隠せず、しどろもどろで、和也さんにも気を遣いながら、あたしは返事をしています。
「あっ、そうか!ごめん璃子ちゃん。俺としたことが、気がつかなかったね」
「えっ!?」
更科さんは、何かにお気づきになったようですが、あたしには、更科さんの言葉の意味が解りません。
あたしは、目を丸くしながら更科さんを見ました。
「そっかそっか。昨日の夜も、プレゼントももらえないくらいに、ふたりで忙しかったんだね」
更科さんは、申し訳なさそうな表情を浮かべて、わざとらしくあたしを見つめました。
「……」
げっ!絶対にわざとだし!からかってるし!
解ってはいても、あたしはどんどん紅く染まっていきました。
「更科、そのくらいで許してやって」
和也さんが、肩を揺らしてクスクス笑いながら他人事のように言っています。
「アハハハ……ごめんね璃子ちゃん。つい苛めたくて、いやっ楽しくて、いやっ、かわいくての間違いだな」
更科さんは、楽しそうに笑いました。
絶対、『楽しく苛めたくて』なんだから!
あたしは、更科さんをちょっとだけキッと睨んじゃいました。
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