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「ずいぶんと楽しそうだね」
電話を終えた和也さんが戻って来た。
「あぁ、和也。もう少しゆっくりでよかったのに」
更科さんが、笑いながら答える。
「何を話してたの?」
笑顔の和也さんが、あたしに聞く。
「えっ!?何って!?」
「乗り換えについて少々。ねっ璃子ちゃん」
「えっ!?」
っていうか、更科さん、せっかくいい話だったのに、そっち!?ってツッコミをいれたい。
「さぁ、お仕事しようかな。じゃあ、また食事が終わった頃にでも覗かせてもらうよ」
更科さんは、にっこり笑いながらウインクして部屋を出た。
「乗り換え?」
和也さんが、不思議な顔をして、あたしに聞く。
おいおい更科さん、そんな問題な言葉だけを残して立ち去るなんて……どしたらいいのよ。
「えっ。電車とか、飛行機とか、乗り物の乗り換えのタイミングって難しいねって……」
ダメだ。
和也さんが、固まった。
「璃子」
「……はい」
「嘘がヘタすぎる!」
「……すいません」
あたしが、ペコリと謝ると、和也さんはクスクスと笑いだした。
「どうせ更科の事だ、自分に乗り換えたらとでも言ったんだろ?」
なんだ、解ってんじゃん!さすが親友!
「……当たり」
あたしたちは、ふたりで目を見合わせて笑った。
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