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「お待たせいたしました。前菜でございます」
お誕生日仕様のお料理が運ばれてきた。
なぜ『お誕生日仕様』と解るのかというと、お料理の中に、『璃子ちゃんおめでとう』って書かれた食べられるメッセージが添えられていたから。
「これ絶対、更科さんのイタズラだよね?」
「間違いないな」
あまりに微笑ましくて、うれしくて、ふたりでクスクスお皿を眺めて笑った。
「ノンアルコールのスパークリングカクテルでございます」
シュワシュワと小さな泡をたてながら、グラスにゆっくり注がれた。
「璃子、お誕生日おめでとう」
「ありがとう和也さん」
本日2回目の乾杯に、グラスがカチンと音を立てた。
「これ、プレゼント」
先にグラスを置いた和也さんが、あたしの前に赤いリボンの巻かれた小さな白い小箱を差し出した。
「えっ!?ウソッ」
「昨日の夜は、忙しくて渡せなくて……」
「……」
ニヤリと笑う和也さんに、あたしは思わず真っ赤になってしまった。
「本当は、食べ終わってゆっくりって思ってたんだけど、更科の邪魔が入る前にね」
和也さんは、今度は、にっこり笑った。
「……ありがとう」
「開けてごらん」
あたしは、言われるがまま、ゆっくりリボンをほどいて小箱を開けた。
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