◇◇ 第31章 新たな出会いと旅立ち ◇◇

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「あのね、和也さん……」 「んっ?どうした?」 返事を返しながら、和也さんが上から少し後ろのあたしを見下ろす。 「あの……あのね、冴子さんの貸しって……」 「アハハハ……」 まだ途中までしか言えていないのに、和也さんは吹き出して笑った。 「えっ!?」 「璃子、気にしてませんって顔してたのに、気になってたんだ?」 「……」 「アハハハ……ごめんごめん」 「そんなに笑わなくったって」 謝りながらも、尚も笑い続ける和也さんを、ジトッと見上げた。 「ごめんごめん。璃子ちゃんは、何が気になってたのかな?」 「もぉーっ、まだからかってる! 大切なものを失いかけたって言ってたから、何かなって思っただけっ。 心配して損したっ」 ――素直じゃない。 あたしは、あんまり和也さんが笑うから、ちょっとカチンときて、ちょっと拗ねたように言った。 大股で歩いた和也さんが、サッとあたしの前に立って行く手をふさいだ。 「どいてください」 「心配した?」 「えっ!?全然!」 「本当に?」 「……」 和也さんが、イタズラっぽい視線を向けた。
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