◇◇ 第31章 新たな出会いと旅立ち ◇◇

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「美紅ちゃん♪」 「ヒッ!」 美紅ちゃんの驚きは予想以上だった。 「堕ちた?」 「えっ!?何が!?」 にっこり笑うあたしの顔を、美紅ちゃんが慌てふためきながら見る。 ……かわいい。 「今の人が、この前の歓迎会に来れなかった、わが社のイイ男ナンバーワンの海外事業部の白石優輝部長です♪」 「えっ!?そうなの?」 「素敵でしょ。あの笑顔を食らった女性は、恋に堕ちちゃうよねっ」 「えっ!?違うわよっ」 「ズッドーンって堕ちてる音が聞こえたんですけど?」 「璃子ちゃん、大人をからかっちゃダメよ」 「そうですか?」 「あの人、千円入れて、電話がかかったから、お釣り取らずに行っちゃったのよ」 「えっ!?そうなの?」 「そうなのよ。だから、誰かわかんないから見てたの!」 「なぁんだっ」 「璃子ちゃん知ってるなら返しといて」 「イヤです♪せっかくの出逢いだから、美紅ちゃんが返してあげてください」 「璃子ちゃんったら、由香里に似てきた」 「だって、村上姉さんは、あたしの教育係ですもの。会社では師匠と仰ぐ絶対的な存在ですから♪」 「もぉ璃子ちゃんったら」 「せっかくイイ男を目の前で見るチャンスですからっ。手渡しでよろしくお願いしますねっ」 「はいはいっ」 あたしは、照れる美紅ちゃんと笑いあった。 確かに、恋に堕ちる瞬間を初めて見た気がしたんだけどなぁ~。 あたしは、いつものコーヒーを買うと、青空を見ながらひと口飲んだ。
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