ずっとそばにいてくれたね 第24話

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「それで?」 「うん。社内でも無く、璃子の友達でもなく、じゃあ、一体『お友達』って誰なのよ?って訳よ。 おまけに、隼人がチョコレートを近しい人に配るという事を知ってる人間。 だから、てっきり和也の浮気相手かなっなんて思ったの」 「あり得ない」 「まぁ、気をつけてあげてたほうがいいわよ。やり方が汚いというか、ズル賢い女みたいだから。 璃子は、あの通りのまっすぐな子だから意地悪されても気づかないと思うけど。 でも、いつの間にか相手のペースに振り回されて、勝ってる戦でわざわざ自分で自滅しかねない感じがしたから」 「……そうか」 「まぁ、どっちかって言ったら、和也の方がベタボレだから大丈夫とは思うけど、足元すくわれないようにね。一応、ご忠告。 じゃあ、ごちそうさま」 冴子は、缶コーヒーを俺の方に持ち直して見せると、ニヤリと笑って立ち去った。 ……………… ………… 女かぁ……。 あの時、サラリと聞いていた冴子の言葉が、引っ掛かった。 『お友達から連絡があって、ちょっとカフェに寄ってから帰るので、少し遅くなります。ごめんなさい』 璃子が会社を出る前にくれたメール。あの時は、内容も普通だった。 専務の話しも、もし、秘書室で藤井さんや俺に近しい人間に聞いたのなら、もっと穏やかに心に受け止めれたはず。 なのに、あの取り乱しようは、明らかに悪意をはらんだ言い方をされたとしか考えられない。
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