ずっとそばにいてくれたね 第24話

6/17

1777人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
つまり、専務の話を聞いたのはカフェで……と言うことになる。 『女の人だよ』 と、璃子が言ったと言うことは、璃子よりも歳上。 そして、あの有名ホテルのカフェに行く人間。璃子の友達なら、もっとカジュアルなカフェに行くはず。 誰と行ったのか、聞いてもなかなか言いたがらなかった璃子。 さっき、俺を見つめた熱っぽい視線といい、最中での涙といい、『あたしだけって言って』という言葉といい。 明らかに、誰かに嫉妬している女の表情だった。 一体、誰に振り回されている? 俺は、考えを巡らせた。 璃子がおかしな行動を見せたのが、バレンタインの時。つまり、その前にその女に会った事になる。 璃子が、潜在意識の中で『負けるかも』と思ってしまう相手…… そんな奴がいるか? 年明けまでは普通だったし、じゃあ、璃子が『負けるかも』と感じるような人間に出会う場所…… 1月のパーティー!? あの時なら、隼人からチョコレートを受け取っている人間がゴロゴロいたが…… 多すぎて解らない。 誰に会ったんだよ? 俺は、眠っている璃子の頬を撫でた。 疲れきった表情のまま眠っている璃子の瞳から、涙が一滴流れ落ちた。 俺にきちんと話せば、全部不安も何もかも吸い取って解決してやるのに。 だが、必死に乗り越えようと成長している姿も、またこの上なく愛しい。 「璃子。大丈夫だよ。俺が大切なのは、璃子だけだよ」 そっと璃子の涙を拭いながら、俺は静かに囁いた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1777人が本棚に入れています
本棚に追加