1782人が本棚に入れています
本棚に追加
「璃子ちゃん、お誕生日おめでとう」
和也さんとあたしは、ゆっくり春の青空と新緑を堪能しながらドライブを楽しみ、更科さんのお店に到着して、お決まりの奥の個室に通された。
そして、いつも通りに、向かい合う和也さんとあたしの間には、椅子を前後ひっくり返して股越して座り、あたしの顔をジッと下から顔を傾けて見つめる更科さんがいる。
そして、先ほどの言葉は、その更科さんのもの。
「更科さんありがとうございます」
「いくつになったの?」
「22歳です」
「ふーん。22歳かぁ~」
まるで、値踏みするかのように眺められています。
「璃子ちゃん綺麗になったね」
まるで心を見透かすかのように、まっすぐな眼差しを向ける更科さんが、真顔で言ってくれています。
「……ありがとうございます」
少し照れながらも、うれしい言葉に、喜んでしまいました。
「以前の璃子ちゃんも好きだったけど、今の璃子ちゃんも好きだな」
「……?」
はてっ!?
あたしは何にも変わっていませんよ?
「やっぱり、食べられちゃうと、こう、何て言うか、いい色気が出てくるよね」
「……」
食べられる?何ですかそれは?
「相手が和也っていうのが気に入らないけど、璃子ちゃん綺麗になった」
「……」
多分、『ボッ』って音がしたと思うくらいに、あたしは一瞬で真っ赤になった。
最初のコメントを投稿しよう!