ずっとそばにいてくれたね 第25話

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「あっ、この前はありがとうね。えーっと君は……」 優輝さんは、美紅ちゃんを見ながら話しかけた。名前が思い出せないようだった。 「あっ、早川です」 「早川さん。お釣りありがとう」 「いっ、いえっ」 あっ、自販機の事だ…… 一瞬、そう思ったものの、ふたりだけの会話が続き、冴子さんと村上姉さんとあたしは、静かに状況を見守った。 優輝さんは、いつも通りだったが、美紅ちゃんには、少しだけ恥ずかしそうというか、ぎこちなさを感じた気がした。 あっ……もしかして? 男性には興味が無いなんて言ってた美紅ちゃんだったけど、優輝さんに……もしかして!? あたしがチラリッと村上姉さんに視線を送ると、 「璃子、ちょっと手伝って」 と言われ、あたしは廊下に連れ出された。 「どうしたんですか?」 連れ出されたあたしは、村上姉さんの顔を見た。 「まだ、そっとしとくのよ!」 「えっ!?何がですか?」 「まだ、温かく見守る段階だから、確信を得るまでそっとしておく事!」 「えっ!?やっぱり!?ふたりは!?」 「ちがーうっ!」 「違うんですか?」 「とにかく、今は、まだ温めて育てる段階だから、そっとしておくのよ」 「ええ!?何でですか?せっかくだから、美紅ちゃんの応援してあげましょうよ♪」 「璃子が下手な気を遣って駄目になったら嫌でしょう?」 「困ります」 「でしょ!だから、みんながみんな早々にうまくいく訳じゃないんだし、本人同士も気づいてない感情かもしれないし、だからまだ駄目!みんなで温かく見守って、ゆっくりじっくり味わうのよ。わかった璃子!」 「そうなんですね!優輝さんと美紅ちゃん、お似合いだと思いますもん!みんなで育てるんですね!さすが村上姉さん、恋愛のカリスマ!」 「そういう事だから、まだ、知らん顔してなさい!わかった?」 「はいっ」 そうか!そうなのか!! カリスマ村上姉さんの見事な恋の道しるべに納得したあたしは、大きくしっかり頷いた。
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