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「さすが村上姉さん!やっぱり恋愛のカリスマだわっ♪」
璃子は、キラキラ瞳を輝かせて、納得しましたって表情で力強くあたしを見つめた。
あたしは、恋愛に疎くて素直な璃子をうまいこと言って丸め込んだ。璃子が余計な事をしないように、2人の関係に巻き込まれないように導いた。
美紅が、優輝さんを素敵だなって思ったとしても不思議ではない。だって、誰が見たって、優輝さんは素敵だから。
でも、優輝さんは……
素振りにこそ出さないが、まだ璃子の事を大切に思っているのが、璃子を見る眼差しで解る。
冴子さんも、多くは語らないが、それに気づいてる。だって、さっき、ほんの一瞬、あたしに目配せしたから。
あたしに至っては、あのホテルでの秘密の告白と涙を見た以上、さすがに優輝さんを直接冷やかしたり、美紅を応援したりなんて出来ない。
優輝さんの性格上、璃子への気持ちを早々に切り替えたとも考えづらい。
だとしたら……まだ、優輝さんは、想いを引きずってる訳で。
璃子は……もともと優輝さんと仲が良いし、気づいていないのかもしれない。もしかしたら、あたし達が知らないところで、ふたりは気持ちの整理をつけたのかもしれないし……って、それはちょっと考えづらいかぁ。
いずれにせよ、璃子には全く悪気が無いのは解る。それに、お人好しな性格も解るけど……。
でもね、恋って、やっぱり2人が想いあわないと、ねっ。
璃子……騙すつもりはないけど、ごめんね。
とりあえず、あたしは、肯定的に璃子のお口を塞いだ。
そして、手ぶらで戻る訳にはいかないから、ビール瓶を持って補充するフリをして席に戻った。
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