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「和也さんずいぶん飲まされてたけど、大丈夫?」
「大丈夫だよ」
あたしたちは、みんなと別れてマンションまでの道のりを歩いていた。和也さんは、途中のコンビニで買った清涼飲料水を飲みながら笑っていた。
しかし、さすがの和也さんも、マンションに到着して部屋に入ると、安心して酔いが回り始めたのか?
「ふぅーっ」
と、大きな息を吐きながらネクタイを緩めた。
あたしは、ジャケットとネクタイを順に受け取った。
和也さんの部屋のハンガーにかけてリビングに戻ると、和也さんはソファーに横たわって眠っていた。
連日の送別会やご挨拶回りなど、昼夜を問わず、みんなの前だから、気を張ってたんだよね。
やっと解放されたね。
横たわる和也さんを見ながら、あたしにだけ見せてくれた姿に、愛しさが増す。
「和也さん、お疲れさまでした」
あたしは、声をかけて、そっと毛布をかけた。
ひとりシャワーを浴びて寝る支度を整え、あたしは和也さんの眠るソファーの横の絨毯に座り込んで、和也さんの顔を目の前で覗き込んだ。
和也さんが、深い呼吸を繰り返す。
長い睫毛に、スッと通った鼻筋に、キチッと閉じられた唇。あたしは、滅多に見ることの出来ない和也さんの寝顔を、ジッと食い入るように見つめた。
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