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「おはよう和也さん」
「おはよう璃子」
あっという間に5月も最終日を迎えた。同じ会社に出社する最後の日。
あたしたちは、いつもよりも早く起きて、ゆっくり朝食を摂った。
最後の日は、一緒に出社しようって和也さんから提案されていたから。
玄関で靴を履きお互いの身なりを整える。
「最終日だね」
「あぁ」
「あと1日がんばってください」
「今夜は、仲間内の送別会だから、一緒に帰ろう」
「うん」
そんな小さな約束をして、和也さんから頬にキスをもらって会社へ向かった。
ふたりで並んで歩く。
今日が最後だなんて、正直信じられなかった。
早起きした分、いつもよりもゆっくりした時間が出来た和也さんは、あたしとの大切な想い出を作るために使ってくれていた。
「おふたりさんおはよう」
振り返ると、朝から爽やかな優輝さんだった。
「おはよう」
「おはようございます」
あたしは、和也さんと優輝さんの間に挟まれ、ふたりの会話を聞きながら出社した。
会社に着くと、和也さんと優輝さんは、フロアにそのまま向かった。
あたしは、今日で見納めになるかもしれない親友ふたりの貴重なツーショットをそっと見送った。
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