◇◇ 第32章 瞬く小さな光 ◇◇

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2週間が経過し、すっかり梅雨入りして、どんよりとした雲の下、しとしとと雨が降る日が続いていた。 男性は、『外に出ると7人の敵がいる』なんて言うけれど、和也さんは、不安や疲れなどを微塵も出さずに、今まで通りに普段通りにサラリとクールに過ごしている。 だけど、あたしの中では、和也さんが帰って来て、あたしを抱きしめる瞬間が、和也さんのストレス度合いを感知するバロメーターになっていた。 和也さんは、ふわりと抱きしめる日もあれば、ギュッて、ちょっと壊れちゃうよっていう感じの強めな日もあったから。 何にも言わない和也さんだから、せめてあたしが、和也さんの抱き枕的な癒しになれれば、なんて思っていた。 とは言うものの、やっぱりあたしの方が甘えてしまって、ちょっとツラかった日は、ギュッって和也さんに抱きついた。 お互いに、一緒の時間を楽しみたかったからかもしれないが、多くは語らずにギュッってするだけでスイッチを切り替えた。 なんてカッコいいこと言いながらも、やっぱりあたしだけは、和也さんに聞いてもらっていたけれど…… いろいろあるものの、お互いに新たな環境の中で、互いに歩みより、支えあいながら、うまく日々を過ごして来ていた。
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