◇◇ 第32章 瞬く小さな光 ◇◇

8/24
前へ
/40ページ
次へ
午後からの仕事は、思いの外はかどった。多分、1分でも早く帰りたいって気持ちが、モチベーションを上げたんだと思う。 「藤井さん、他にお手伝い出来ることはありませんか?」 「ええ、今日はもう大丈夫よ。何か用事でもあるんじゃない?」 「えっ!?」 「いつもより、楽しそうに仕事を片付けてたから」 「あっ……」 「さては、松本さんとデートかな?」 「……はい」 言い当てられて、あたしは少し頬を染めながら答えた。 「じゃあ、帰れるときに早く帰りなさい」 「はい。ありがとうございます」 優しく微笑む藤井さんに挨拶をして、デスクを片付けると、あたしは更衣室へと向かった。 『和也さん、今、更衣室です。今から着替えて会社を出ます』 あたしは、更衣室で和也さんにメールを打った。 『早かったね。俺も出るところだから、特別、部屋に用事が無ければ、マンションの駐車場で待ち合わせしようか?』 『はい。では、駐車場に向かいますね』 そこまで送ると、急いで着替えた。 よかった。今日は、偶然にもお気に入りのワンピースを着ていた。お化粧を整え、逸る気持ちを抑えながらもウキウキしながら会社を飛び出した。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1811人が本棚に入れています
本棚に追加