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『大切な方』だなんて……
女将さんの眼差しに恥ずかしさを感じながらも、あたしは和也さんの言葉がうれしくて頬を染めながら俯いた。
「璃子はせっかくなのに飲まなくてよかった?」
和也さんが、優しく問う。
「あっ、和也さんこそウーロン茶でいいの?せっかくだからビール飲んで!帰りはあたしが運転するから」
「それは、人生をかけた、かなりスリリングな大冒険だね」
「えっ!?」
「璃子は、ペーパーでしょ!?」
「う゛……」
ニヤリとイタズラっぽく笑って見ている和也さんに対して、あたしは声にならない声が出た。
だって、高校卒業と同時に運転免許を取得したものの、地元にでもいない限りは車なんかには乗らないもん。
おまけにそのまま都会で就職したら、公共機関を使った方が便利だし……
だから……仕方ないじゃん。
確かに、とても渡グループの専務をお乗せ出来る腕前ではないし、和也さんの高級車を運転出来る腕前でもなかった。
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