◇◇ 第32章 瞬く小さな光 ◇◇

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「食べようか?」 「……はい」 和也さんに告げられた感謝の言葉が、あたしの胸をジワッと、いっぱいにする。あたしでもお役にたててるんだと自信をくれる。 うれしくて、くすぐったくて、幸せで…… 優しく満たされながら、温かな晩餐が始まった。 「綺麗すぎて、食べちゃうのがもったいないね」 「そうだね」 「うわぁーっ、薄い味つけなのに味が染みてて美味しいねぇ」 「そうだね」 「和也さん、これ食べてみて」 「どれ?」 「その、小さな、それっ」 「んっ?この食材は何だろうね?」 ふたりの穏やかな会話が続く。 静かに…… 緩やかに…… 温かな言葉が交わされる。 時の経つのを忘れるくらい、感じないくらいに、時がふたりの邪魔をしないように、そっと、そっと過ぎて行った。 「もう、お腹いっぱい。幸せ♪」 「それはよかった」 「和也さん」 「んっ?」 「……ありがとう」 「……あぁ」 お互いに遠慮なく、素直な言葉が、素直な気持ちが交わされる。 素直なふたりだけの時間が、自然と笑顔を溢れさせ、優しく温かな空気を生み出した。
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