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えっ……!?
一瞬、時が止まったかのような感覚に襲われた。
不安を感じたあたしの理性が、飛んで行きそうなあたしを必死に現実へと引き戻した。
「……旅行かな?」
あたしは一縷(いちる)の望みをかけて、小さな声で聞いた。
「いいや」
和也さんは、揺るぎない強さで、まっすぐに対岸を見つめていた。
「あ、あの……」
あたしは言葉の意味を理解しながらも、それでもなお会話の出口を探していた。
「海外企業との提携話をまとめる仕事を任された」
和也さんが、ゆっくりと落ちついた声で告げる。
「そ、そうなんだ……」
見上げた和也さんの横顔は、大きな仕事を任され、責任と重圧に立ち向かう、やる気に満ちた強い男の表情だった。
「ど、どのくらい……なのかな?」
「まだ解らないけど、半年から1年かな」
「そ、そうなんだ……。い、いつ行くの?」
「10日後」
「と、10日……」
それ以上は、何も言えなくて、あたしはゆっくり視線を足元へと下ろした。
あたしの動揺と同じく、小さな光たちも、乱れ飛びながら瞬いていた。
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