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「松本部長の前途を祝して~乾杯!」
幹事の足立さんと坂本さんの音頭とともに送別会が始まった。
集まった仲間は40~50人。大きな広間を借りきって行われた。
最後ゆえに、ここぞとばかりに和也さんのファンが取り囲み、和也さんの周りには男女の輪が出来上がっていた。
あたしは、冴子さんと村上姉さんと美紅ちゃんと4人で端に座り、勝手に女子会を開いていた。
「冴子さん、同期の最後に松本部長にお酌しなくて良いんですか?」
村上姉さんが問いかけた。
「あぁ、いいのよ。あたしは和也を見飽きてるし、それにまた会うしね。今夜は、もう会えなくなる方々へお譲りするわっ。ねっ璃子」
「えっ!?」
あたしは、急に会話を振られて驚いた。
「あらあら冴子さん、璃子は旦那様が気になってるようですよ」
村上姉さんが茶化す。
「そっ、そんな事ないですよ」
慌てて否定するが、正直なところ、女子社員に囲まれている和也さんに、気が気でなかった。
「あらあらそれは大変。いつでもあたしが傍に連れていって、うるさい外野は追っ払ってあげるわよ」
「さすが冴子さん♪よかったね璃子」
「違いますって……」
「「はいはいっ」」
からかう2人がニヤニヤ笑った。
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